寝室の広さが基準以下のものは、旧制度から技能実習生を受け入れて使用している宿泊施設が、平成29年11月の技能実習法施行で使えなくなることに対する救済措置があるためです。
技能実習生の宿泊施設については、『技能実習制度 運用要領』において示している『寝室については、床の間・押入を除き、1人当たり4.5㎡以上』を確保していない場合には、『技能実習生のための適切な宿泊施設を確保している』(法第9条第9号、規則第14条第1号)とは、原則、認められないこととなります。
しかしながら、平成29年11月の技能実習法施行前から技能実習生を受け入れて使用している宿泊施設については、要領において示している寝室の面積以外の宿泊施設の基準を満たしていることを前提に、寝室以外に私有可能なスペースを別途設けている等の取組により、実質的に1人当たり4.5㎡以上の私有スペースが確保されていると認められる場合には、当該宿泊施設を使用している間は、「技能実習生のための適切な宿泊施設を確保している」と認められているケースがあります。
これは法律施行直前に新築で宿泊施設を建てた某団体が、施設の使用前に要領の基準をクリアできないことがわかり『せっかく作ったのに新法で違法となったのをなんとかしてくれ』という繰り返しの陳情により認められたと言われています。
その宿舎の寝室の広さは『1人当たり平均3.1㎡』だったそうです。シングルの掛け布団程度のサイズの部屋ですね。労働基準法に基づき定められた事業場附属寄宿舎規程にある2.5㎡より広いからいいだろうという発想のようですが、この規程は昭和22年施行のもので、4畳半に3人で布団を敷いて寝る程度という最低基準です。
その後に改正された建設業附属寄宿舎規定では1人当たり3.2㎡以上となっていましたがそれも下回っています。
さらに平成6年に公布された『望ましい建設業附属寄宿舎に関するガイドライン』では、1人当たり4.8㎡以上とするとされていますので、新築するとなればこの水準にするべきだったのではないでしょうか。
その件はおいといて、いずれにしろ旧技能実習制度でもJITCOから『寝室は6畳に2名』と指導されており、4.5㎡は同等程度の広さです。法律の施行から4年以上も経過しているにもかかわらず、狭い寝室の提供を続けていることは、あまり褒められたことではないでしょう。
とはいっても、技能実習生が『家賃が上がるのだったら狭い部屋のままでいい』いという現実もあり、なかなか難しいところです。
<参考>
旧制度の時代は入国管理局に提出していた書類には『居室の面積』と書いてあって、
延べ床面積÷技能実習生の数
と計算していたケースもありました。
実際に宿泊施設に行くと、工事現場とかにある平屋のスーパーハウスに2名宿泊していたり、民家の6畳間に2段ベッド4台とか3段ベッド2台置かれていた宿泊施設もありました。
宿泊施設の環境は、技能実習法施行と外国人技能実習機構設立で大きく改善されたところだと思います。
ちなみに各種6畳間の広さは次のとおりです。団地間だと2名で使うにはちょっと足りないですね。
京間 ・・・ 10.94㎡
中京間 ・・・ 9.93㎡
江戸間 ・・・ 9.27㎡
団地間 ・・・ 8.67㎡
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