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【技能実習】Q54:技能実習生に頼まれてパスポートや在留カードを預かるのも問題ですか?

実習実施者

回答

技能実習生から保管してほしい旨の要望があったとしても、預かるべきではありません

技能実習法では、技能実習生のパスポートや在留カードを保管することは、技能実習生の同意の有無や理由によらず、禁止されています。

特に、技能実習生の意思に反して技能実習生のパスポートや在留カードを保管した場合には、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる場合があります

過去の指針では

技能実習法は、過去に法務省入国管理局が策定していた指針「技能実習生の入国・在留管理に関する指針(平成25年12月改訂)」を踏襲してるところから、そこに書かれている内容が参考になります。

監理団体が、技能実習生の失踪等問題事例の発生の防止を口実として、技能実習生に対し宿舎からの外出を禁止したり、技能実習生の旅券や在留カードを預かったりしてはいけません。外出を禁止することは人権侵害につながりかねず、また、旅券や在留カードは法令上携帯義務が課せられているので、法令違反に問われることにもなりかねません。実際に法令違反に問われなくとも、後述の旅券・在留カードの取上げに係る不正行為となります。 旅券や在留カードについては,技能実習生から保管して欲しい旨の要望があったとしても,預かるべきではありません。

2 「不正行為」の具体的内容

(2) 旅券・在留カードの取上げ

監理団体,実習実施機関又はあっせん機関において,技能実習生の旅券又は在留カードを取り上げていた場合です。 例えば,実習実施機関において逃走防止のためなどと称して旅券や在留カードを保管していた場合です。


パスポートや在留カードを預かる行為は人権侵害につながる行為として不正行為としての処分の対象になっていたということです。

技能実習法では

技能実習法では違反としては次のとおりです。

第48条

技能実習を行わせる者若しくは実習監理者又はこれらの役員若しくは職員(次項において「技能実習関係者」という。)は、技能実習生の旅券(入管法第2条第5号に規定する旅券をいう。第111条第5号において同じ。)又は在留カード(入管法第19条の3に規定する在留カードをいう。同号において同じ。)を保管してはならない。

 

第111条

次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。 五 第48条第1項の規定に違反して、技能実習生の意思に反して技能実習生の旅券又は在留カードを保管した者

 
預かり行為が人権侵害と認定された場合は「過去五年以内に技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行っていない」という認定要件を満たさなくなるため、認定取消しとなってしまいます。

まとめ

技能実習生から保管してほしい旨の要望があったとしても、預かるべきではありません。

技能実習生が自分から「預かることを依頼した」と証言してくれれば文書指導程度で済む可能性がありますが、技能実習生が「依頼していない」との申し立てがあった場合は、人権侵害として処分の対象となるリスクがあるということに注意です。

技能実習生に頼まれても「法律で禁止されている」と断りましょう。

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