回答
これは
○雇用契約書及び雇用条件書(参考様式1-14 号)、就業規則に定めた賃金を支払っていない
○技能実習生の報酬・宿泊施設・徴収費用についての説明書(参考様式1-16 号)に記載された内容となっていない
○徴収費用が実費を超えている
などがあります。
賃金等の支払に関するもの
割増賃金不払違反などは毎年のように労働基準監督署が送検されており、厚生労働省ホームページで「外国人技能実習生の実習実施者に対する○○年の監督指導、送検等の状況を公表します」を検索すると事例が確認できます。
確認できた事例
厚生労働省の監督指導、送検等の状況から抜粋しました。
なぜ、膨大な書類が計画認定申請で求められるのか、帳簿の記録等による実習記録が求められるのか判ります。
日本人がこんな条件で働くわけない!
技能実習生が簡単に転職できない、帰国もできないことが判っているからこんなことができるとしか思えません。
この制度を廃止しないのならば、悪徳事業者の排除を徹底しなければならないと思います。
<技能実習法施行後>
○終業時刻後に行わせている製品の手直し作業の労働時間を把握せず、割増賃金も支払っていない
○技能実習計画にない小売店の清掃等の業務を行わせ、その労働時間に対する賃金を支払っていない ○月80時間を超える時間外労働に対する割増賃金が時間額450~600円で支払われ、深夜労働及び休日労働に対する割増賃金は全く支払われていない ○定期賃金の一部を「帰国時に支払う」としていた ○基本給が時間額換算450円であり最低賃金を下回っていること ○時間外労働に対する賃金が法定の割増率(25%)を下回る時間額500円であること ○時間外労働を行っても、午後6時にタイムカードを打刻させていた。それ以降の時間外労働については、「請負」と称して、完成させた製品の量に応じた報酬が支払われていたが、支払額は法定の割増率(25%)で計算した割増賃金額に満たなかった。 ○半年以上、残業代を含めた賃金がまったく支払われていない |
<技能実習法施行前>
○18時以降の時間外労働に対しては、実習1年目は時間単価が400円、2年目は500円、3年目は600円が支払われており、法定の割増率以上で計算した割増賃金が支払われていない
○時間外労働については、「内職」と称して製造した商品の種類や個数に応じて賃金が支払われているが、支払額が時間外労働時間に対する割増賃金に満たない。 ○フルタイムで勤務しているにもかかわらず、申告内容どおり月額6万円と最低賃金額を下回っており、また、時間外労働の時間単価が500円~700円で計算されている ○最低賃金額を下回る月額6万円を支払っており、また、時間外労働の時間単価を350円~450円に設定して支払っていた ○月額6万5,000円程度で雇用しており、最低賃金額以上の賃金を支払っていない。 ○時間外・休日労働に対しては、実習1年目は時間単価が300円、2年目は400円、3年目は450円の支払とし、法定の割増率以上で計算した割増賃金を支払っていない。 ○実習1年目は時間単価が350円、2、3年目は450円の支払としている ○「国民年金積立」などの虚偽の名目で違法に控除したり、時間外・休日労働に対して時間単価で500円程度の支払とするなどにより、所定の賃金及び割増賃金、総額約1,200万円が支払われていない ○月額6万円程度しか支払われておらず、また、時間外・休日労働に対しても時間単価が400円程度となっており、最低賃金額に満たない賃金及び割増賃金、総額約500万円が支払われていなかった |
徴収費用に関するもの
技能実習制度運用要領では、食費、居住費、光熱費に関する徴収費用の説明があるので、この考え方を利用して他の徴収費用も判断できます。
食費
食費については、提供される食事、食材等の提供内容に応じて、以下のとおり、合理的な費用でなければなりません。
・ 食材、宅配弁当等の現物支給の場合 : 購入に要した額以内の額
・ 社員食堂での食事提供の場合 : 従業員一般に提供する場合に技能実習生以外の従業員から徴収する額以内の額
・ 食事の調理・提供の場合 : 材料費、水道・光熱費、人件費等の費用の提供を受ける者(技能実習生のみに限られない。)の人数で除した額以内の額
領収書等で確認可能な金額ではないと、合理的な費用とは言えません。電気、ガス、水道など調理以外にも使う費用は、合理的な按分方法を考えなければ費用として計上できません。
居住費
居住費については、自己所有物件の場合、借上物件の場合に応じて、以下のとおりでなければなりません。
・ 自己所有物件の場合
実際に建設・改築等に要した費用、物件の耐用年数、入居する技能実習生の人数等を勘案して算出した合理的な額
・ 借上物件の場合
借上げに要する費用(管理費・共益費を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料等は含まない。)を入居する技能実習生の人数で除した額以内の額なお、借上物件であっても、監理団体・実習実施者の役員、専従者、同居の親族の所有物件である場合などで、実質的に貸主が監理団体・実習実施者と同一視できる場合には、借上物件として評価すべき事情について詳細な説明をいただくことがあります。
自己所有物件の場合は土地購入代が入っていないことに注意です。
機構の「よくあるご質問(技能実習計画の認定申請関係)」には
「建物自体の耐用年数が過ぎたものであっても、冷暖房施設の更新や修繕、クリーニング、壁紙の張り替え等、当該物件の維持に必要な費用を、更新年数や居住する実習生の人数等を勘案して、その実費に相当する適正な金額を徴収することは可能です。」
とあります。この考え方を使えば、前もって実費に相当する適正な金額として維持費の徴収もできそうです。宿泊施設の整備計画を作って機構に相談してみましょう。
借上物件の記載については、技能実習制度運用要領の改訂時に追加された部分です。
これは当然で、例えば社長の古い自宅を社長の奥さん名義にしておいて家賃を徴収できれば、簡単に実費を超えた金額を徴収できることになってしまうからです。
水道・光熱費
水道・光熱費については、実際に要した費用を当該宿泊施設で技能実習生と同居している者(実習実施者やその家族を含む)の人数で除した額以内の額でなければなりません。
これは人数割としておくと、失踪者等が出たときに困るんですよね。宿泊可能人数で割った金額で設定し、実際の差額は会社が援助すると考えた方がいいと思います。
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