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【技能実習】Q43:生活指導員の役割を教えてください(続き)

実習実施者

続き

前回の続きです。

○技能実習生の生活状況を把握する

生活状況を把握するためには、宿泊施設を巡視することが必要なはずですが、そのことについて技能実習制度運用要領には何も記載がありません。

プライベートな場所への立ち入りも必要になりますので、技能実習生の生活状況を把握するために必要なことを丁寧に説明して理解を得た上で実行します。

宿泊施設の巡視で見つかる問題点の例

○消火器の場所を勝手に変更していた

○縄ばしごなど避難設備の場所を勝手に変更していた

○ガスコンロのそばに新聞紙などの可燃物が置かれていた

○換気扇が油で動かなくなっていた

○居間にゴミが大量に積み上げられていた

○窓の下に生ゴミがたい積していた

○ネズミが入り込んでいた

○生ものを食器棚に保存していた

○食材が通路に積み上げられていた

○洗っていない食器が床に置かれていた

○食堂の椅子が足りずに立って食べているものがいた

○寝室で空き缶などを灰皿にして寝たばこをしていた

○備え付けの家具を壊していた

○ドアのノブが壊れていた

○電気がつかないままとなっていた

○暖房、クーラーを付けたまま仕事に行っていた

このような問題点があるので、入国後は頻繁に訪問し、生活ルールを早く身につけるように指導した方が技能実習生も助かると思います。

生活が落ち着いた後は1か月ごとに1回程度の確認で十分かと思います。

巡視する場所は上記の例を参考に屋内と建物の敷地内の両方を確認します。

音が近隣トラブルとなることも多いため、多数で夜に騒いでいないか、テレビやラジオなどの音量が適切なのかなど、音がでる生活状況も確認すると良いです。

○技能実習生の相談に乗る

生活指導員の扱う相談は生活に関してだけではなく、実習実施者での技能実習生活全般について技能実習生の相談に乗るなどして、問題の発生を未然に防止することが求められます。

技能実習制度運用要領で具体的な対応方法の記載がありませんのが、目的を達成するには技能実習生が気軽に相談できるよう信頼関係の構築が重要となります。

信頼関係は、常日頃からの声かけや宿泊施設訪問、要望があった点については、必ず結果や経過の連絡を密にするなどにより、時間をかけて構築していきます。

そのために生活指導員は、技能実習生が男女両方いる場合には同性の相談員も選任した方がいいと思います。相談だけを受ける補助者をつけるという方法もあります。

また、相談はどんな些細なことでも記録に残し、技能実習責任者に報告する。責任者から「ちょっと待って」といわれたら、回答まで待たずに「ちょっと待って」と言われたということを伝えて対応していることをしっかりと伝えることで待っている間の不安を解消します。

技能実習生とのトラブルはコミュニケーション不足から発生しているものも多いと感じています。

実習実施者での技能実習関係のトラブル防止の中心となるのが生活指導員です。

生活指導員に対する講習の受講

生活指導員は、技能実習責任者と異なり講習の受講は義務ではありませんが、生活指導員に対する講習を修了したものであることが望ましいと考えられています。

生活指導員に対する講習を修了している場合、優良な実習実施者の要件の加点要素とすることで、これを推奨されています。

 

 おまけ

生活指導員に対しては、旧制度から監理団体に育成を求めています。それは「技能実習生の入国・在留管理に関する指針(平成25年12月改訂)」に書かれていましたので、その部分を抜粋します

○生活指導員の育成

技能実習生の生活指導を直接行うのは実習実施機関の生活指導員ですが,監理団体は,生活指導員が適切な指導を行うことができるよう,生活指導上の留意点等のノウハウを蓄積し,それを生活指導員に周知させることが必要です。具体的には監理団体において,生活指導員育成のための説明会等を開催したり,ガイドブックの作成・配布を行うなどの実効性のある取組が望まれます。

また,生活指導員の育成を実効性のあるものにするためにも,実習実施機関における技能実習生の生活の実態がどのようなものか,実習実施機関はどのように生活指導を行っているかについて,随時訪問等により把握することが必要です。

この指導と実態の把握の双方を行うことによって技能実習生の生活が円満なものとなると考えられますので,監理団体ではそのための体制を整える必要があります。

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