これについては、宿泊施設の所在地を管轄する労働基準監督署に相談してください。
というのも、事業の附属寄宿舎に該当する場合は、寄宿舎の施設が原因でケガをした場合、労災として扱われる可能性がある重要な判断だからです。
実習実施者が、寄宿舎に該当しないと勝手に扱っておいて、技能実習生が宿舎で重傷を負い、宿泊施設の安全関係に問題があって法律違反があった場合、最悪、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
その結果、技能実習計画の認定取消しとなり、5年間技能実習生の受け入れができなくなることになります。
労働基準監督署に相談した場合は、日付と担当官と回答内容は記録に残して保管しておき、後になって寄宿舎に該当するしないの問題となった場合に備えておきましょう。
<参考>
技能実習運用要領では、次のような記載があります。
原則として、以下の条件を満たせば労働基準法上の事業場附属寄宿舎に該当することとなります。 ・ 常態的に相当人数の労働者が宿泊し、共同生活の実態を備えていること。・ 独立又は区画された施設であること(事業主の母屋に同居する場合は寄宿舎に該当しない)。 ・ 事業経営の必要上その一部として設けられているような事業との関連をもっていること(労務管理上共同生活の必要性の有無、事業場所内又はその付近にあるか。社宅・アパートは非該当。)。 |
これを理解して判断できる人は皆無だと思います。労働基準監督署に相談するのが一番です。
それでも相談するのが面倒だという人のために、ちょっとだけ無責任に解説しますと、
・ 事業経営の必要上その一部として設けられているような事業との関連をもっていること
これについては、実態はかつての出稼ぎ労働者受け入れと変わらないため、該当すると判断した方がいいとおもいます。
・ 独立又は区画された施設であること
これも社長の家に住み込みしてない限りは該当すると思います
・ 常態的に相当人数の労働者が宿泊し、共同生活の実態を備えていること。
これについては、工場等の敷地内に宿泊施設があり、起居寝食などの生活が共に行われている場合は、事業場の附属寄宿舎と判断される可能性が高いとおもいます。
食事は自由に外食しているという場合は、該当しない可能性が高いと思います。
民間のシェアハウスと同じ実態があるのであれば、寄宿舎に該当しないと判断される可能性が高いと思います。
民間の賃貸物件を借りていても、寝室が1室2名以上となっているのであれば、寄宿舎と判断される可能性が高いと思います。ちなみに、民家を利用したシェアハウスも建築基準法では『寄宿舎』と判断されるらしいです。
この部分の判断は本当に難しいです。要領では寄宿舎に該当するかどうかは労働基準監督署に相談してくれといいつつ、宿泊施設についての要件は寄宿舎規程に定められているられている措置に準じているからです。
もともと労働基準法第10章の寄宿舎は、紡績業、石炭鉱業、建設業などの事業で、工場の周辺から労働者を集めることが困難なため、事業の附属寄宿舎を設けたことから始まりました。
工場のそばに居住していることから、便利に出勤を命じるようになり、外出等されると生産に影響するため、私生活を制限し始めるといった問題が多発したことを背景に定められたものです。
現代日本では、こんな会社があったらブラックすぎて退職してしまいます。
ところが技能実習制度では、技能実習生に実習実施先の自由な変更が認められていないため、かつての日本の紡績工場の労働者と似たような住環境で働かせる会社が増え、様々なトラブルが発生しました。
このような背景も踏まえ、宿泊施設は火災に対する細心の注意と、技能実習生に不当な扱いであると受取られないような配慮が大切だと思います。
コメント