はじめに
実習実施者は、技能実習の指導を担当する者として「技能実習指導員」を1名以上選任しなければならないことになっています。
でも、技能実習制度運用要領では、生活指導員が何をしなければならないかが具体的に書かれていません。
そこで、技能実習制度運用要領を補足して、どんな役割なのかを考えてみました。
技能実習指導員の選任
技能実習指導員は選任できる人が次のとおり決まっています。
① 実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員である者
② 技能実習を行わせる事業所に所属する者
③ 修得等をさせようとする技能等について5年以上の経験を有する者
④ 欠格事由に該当する者(禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過していない者など)ではない者
⑤ 過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しい不当な行為をした者ではないもの
⑥ 未成年者ではない者
つまり、不正の前歴が無い常勤の役員か職員であって技能実習を行わせる事業所(工場など)に所属する技能等について5年以上の経験がある成人した者から選任します。
技能実習指導員の役割
技能実習制度運用要領では次のような記載があります。
○ 技能実習生を直接指導する
○ 監査の際には技能実習指導員から報告をする
○ 技能実習指導員による技能実習計画の目標が達成されているかどうかの確認(移行対象職種・作業に係るものでない第1号技能実習の場合等)
具体的には
○ 技能実習生を直接指導する
技能実習制度運用要領には「直接指導」をどの程度まで求めているのかの記載がありません。
そのため、実習実施者が「直接指導してます」と答弁すれば許されると思っている実習実施者も多いと思います。
しかしながら、「令和元年度外国人技能実習機構業務統計」の違反指摘内容を見ると
技能実習指導員が適切に選任されていなかったもの・・・217件
と少なくない件数の指導があります。
認定段階で指導員の選任自体は確認されているので、現場で直接指導できる体制とは認められなかったとの指摘と考えていいと思います。
少なくとも同じ作業をしている現場に1名常駐していないと、直接指導していないと指摘されている可能性が高いと思います。
それが同じ建屋なら許されるのか、同じ班にいなければだめなのかは、機構の実地検査担当者の主観によると思いますので、その辺を考えて複数選任しておくのが無難です。
特に建設業の場合は技能実習生と同じ現場に行く班に技能実習指導員がいないと、間違いなく「直接指導していないじゃないか」と言われることになりますので、気をつけましょう。
○ 監査の際には技能実習指導員から報告をする
監査のときに計画に照らしての進捗状況の質問を受けることは今までは無かったと思います。
主には仕事の理解度や就業態度を聞かれて答えることがこの報告でしょう。
○ 技能実習指導員による技能実習計画の目標が達成されているかどうかの確認
これは、移行対象職種・作業に係るものでない第1号技能実習の場合や複数職種の場合の従たる目標の達成状況の確認の役目を担っているということです。
要領でも何の基準も示していないので、目標未達成という評価をすることは無いですね。
まとめ
技能実習指導員は、技能実習として受け入れているというために、直接指導している体制をとっている事実が重要となっています。
教えなくてもできる作業ばかり行わせていると技能実習ではなくなるので、そこは機構から厳しく指摘されることになります。
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