有識者会議最終報告の感想 2

新制度関係

感想

 技能実習制度廃止には大きなハードルがありました。一つは在留資格の問題です。企業は募集をしても応募がないような、賃金が安くて3K(きつい、危険、汚い)仕事の人材が欲しいが、そのような仕事に従事する労働者に与えることができる在留資格はない。そのため、日本で人材を育成して他国にその技術を伝えるという理由で臨時的な在留資格を付与できるようにしてきたのが技能実習です。それを新たな制度で単純労働受け入れに踏み切るかどうかでしたが、やはり踏みとどまりました。
 「人材の育成を必要としている国」というフィルターを持ったままでいないと、ありとあらゆる国からの入国を認めなければならなくなります。それはできないので今までの枠組みは維持することにしたのだと思います。

 新たな制度は「育成就労制度」という名称とするようです。結局は特定技能に移行するための制度として再設計するということですが、技能実習は職種がどんどん増加していたので、その点について技能実習制度の増えた職種を削減するのか、特定技能の業種を増やすのかどちらになるのかが問題です。おそらくは特定技能の業種が増えていくという判断になると思いますがどうでしょうか。特に技能実習において人権侵害がくり返されてきた「繊維工業」が特定技能の業種として認められた場合は、人権侵害防止措置をどうするかの新制度設計が試されることになると思います。

 また、技能実習法の審議中に、技能実習3号に移行してさらに2年延長するとなると、一度も国に帰れないのがどうなのかということで一時帰国制度ができました。帰国費用は実習実施者の負担でした。新制度は本人意向による転籍も可能な制度であるため、おそらく一時帰国は有給休暇を取得して自費での対応という制度になるのではないでしょうか。そうすると、技能実習よりも企業負担が少なくなるかもしれません。

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