回答
天災地変等自然災害の不可抗力による場合を除いては、休業手当として平均賃金の6割は補償しなければならないと考えてください。
休業手当
労働基準法に休業手当というものが定められています。
第26条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
天候は「使用者の責めに帰すべき事由」つまり、使用者の責任じゃないでしょうと考えて、「払わなくてもいい」としている回答がネットであふれています。
学説や裁判例をみてみると、そのような単純なことで判断するのではなく、
○使用者の故意、過失又は信義則上これと同視すべきものより広く
○不可抗力によるものは含まれない
と考えるべきだとされています。
もともと民法536条の「債権者の責に帰すべき事由」での履行不能は全額補償となっていますが、休業手当はそれよりも該当要件を緩和し、強行法規である労働基準法で6割補償することで労働者の生活を保護するために規定されたものなので、
「使用者の責めに帰すべき事由」は広く解釈する
必要があります。
行政通達
労働基準法コンメンタールに通達が掲載されています(昭和41・6・21 基発第630条)
単に悪天候という理由では足りず、天災地変等自然災害で誰もが「今日は働くことができないよね」と考えるときにはじめて不可抗力を主張できると考えるべきです。
ではどうする?
○天気予報を利用して休日と振り替える
○悪天候時の代替作業を用意しておく
○例年悪天候が多い月の技能実習予定時間を減らしておく
というような対処方法を定めておくと良いと思います。
でも払っていない会社多いよね
建設業などに長い間働いていると、朝から雨が降っていたら作業中止となり、その分の賃金が出ないということがあたりまえだったりするので、契約書に書いていなかったとしても労使の慣習となっていることから払う払わないのトラブルにならないだけではないでしょうか。
ただ最近はずっと同じ業界で働く人も徐々に減っており、慣習が薄れてきていて通じない労働者も多くなっているので、契約書に基づいて休業手当が請求されるようなトラブルも増えているらしいです。
技能実習生は当然業界の慣習など知るわけがありません。雨が続いて賃金が半分になってしまうようなことがあると賃金のトラブルになることがあります。慣習を押しつけてもトラブルが大きくなるだけなので、別の方法で対処した方が現実的です。
例えば、雨が降ったときに座学や屋内作業をするなどして賃金に影響しないようにしてあげることを考えた方がいいと思います。
まとめ
労働日に使用者の命令で労働者を休ませると、休業手当の支払が必要になります。例外的に天災事変等の自然災害では責任を免除されます。
悪天候で休業手当を惜しんで無理に作業をするよりも、あらかじめ休日の振替、悪天候でも可能な作業を用意しておく等で対処することを考えましょう。
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