回答
この違反は
1 就業規則を作成して労働基準監督署に届出ていない
2 就業規則を変更したのに労働基準監督に届出ていない
のどちらかです。
毎年、厚生労働省のホームページで、「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」が発表されています。これは技能実習生に対する違反に限らず実習実施者に対して行われたものです。令和元年度において「就業規則」は8.9%の実習実施者で違反が指摘されています。
公表資料には解説がないので、ここで簡単に説明します。
就業規則の作成
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、次の事項について就業規則を作成しなければなりません。(第89条)
技能実習生を毎年受け入れている実習実施者は、気づいてみると技能実習生も含めて常時10人以上となっていることがあり、この違反を指摘されることになります。
就業規則の変更
就業規則の内容について変更した場合も、変更した内容で作成してなければなりません。(第89条)
就業規則の届出
就業規則を作成・変更した場合には、労働者代表の意見を聴取した意見書を作成し、それを添付して、事業場の所在地を直轄する労働基準監督署長に届け出なければなりません。(第89条)
「労働者代表」は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者がなります。
なお、 「労働者の過半数を代表する者」 については、
① 監督または管理の地位にないこと、
② 投票、挙手等の方法により選出されたこと、
の条件を満たすことが必要です。
就業規則の周知
就業規則は労働者に周知することで規則としての効力が発生します。
届出はあくまで適正な作成を担保するための手続きとして定められているだけです。
就業規則は、次のいずれかの方法で、労働者に周知させなければなりません。(第106条)
① 各作業場の見やすい場所に掲示または備え付ける。
② 各労働者に書面を交付する。
③ 磁気ディスク等に記録し、各作業場に記録の内容を常時確認できる機器を設置する。
コメント