回答
「賃金台帳」の違反には
1 そもそも賃金台帳を作っていない
2 事業場ごとに賃金台帳を作っていない
3 賃金台帳の記入事項が足りない
毎年、厚生労働省のホームページで、「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」が発表されています。これは技能実習生に対する違反に限らず実習実施者に対して行われたものです。令和元年度において「賃金台帳」は11.5%の実習実施者で違反が指摘されています。
公表資料には解説がないので、ここで簡単に解説します。
賃金台帳について
労働基準法に次のような規定があります
第108条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。 |
事業場というのは、事業を行う場所のことなので、一定の場所において継続的に行われるいる事務所、店舗、工場などは「事業場」となります。
この事業場単位で賃金台帳を調整し、必要事項を賃金支払いの都度記入しなければならないことになっています。
記入しなければならない必要事項は労働基準法施行規則にあります。
第54条 使用者は、法第108条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。 1 氏名 2 性別3 賃金計算期間4 労働日数5 労働時間数6 法第33条若しくは法第36条第1項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数7 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額8 法第24条第1項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額② 前項第6号の労働時間数は当該事業場の就業規則において法の規定に異なる所定労働時間又は休日の定をした場合には、その就業規則に基いて算定する労働時間数を以てこれに代えることができる。③ 第1項第7号の賃金の種類中に通貨以外のもので支払われる賃金がある場合には、その評価総額を記入しなければならない。④ 日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については、第1項第3号は記入するを要しない。⑤ 法第41条各号のいずれかに該当する労働者及び法第41条の2第1項の規定により労働させる労働者については第1項第5号及び第6号は、これを記入することを要しない。 |
賃金台帳といいつつも、賃金だけではなく、労働時間や出勤日数なども台帳に記入しなければならなくなっています。
そもそも賃金台帳を作っていない
限りなく個人事業に近く、書類作成、管理になれていない場合、賃金台帳を作っていないことがあります。記録をきちんと残していないと、トラブルが起きたときに解決までに時間がかかります。
経営者の時間は貴重です。利益を上げられないトラブル解決に時間が取られることを避けるために、しっかりトラブル防止を図るべきです。
事業場ごとに賃金台帳を作っていない
労働基準監督官の臨検時に賃金台帳の閲覧を求められ、「本社にあるのでここにはありません」と答えると、この違反を指摘されます。
外国人技能実習機構の実地検査時にも確認できないと、労働関係法令の違反がある実習実施者と認識されるので、しっかりと管理しておく必要があります。
現在では、本社とデータが簡単に共有できるので、本社のデータを事業場で閲覧、印刷できるようにしておけばOKです。確認できないと違反と言われます。
賃金台帳の記入事項が足りない
これは
○労働日数
○労働時間数
○時間外労働時間数
○休日労働時間数
○深夜労働時間数
の記入漏れを指摘されることが多いです。
法定項目が出勤簿やタイムカードと給与簿で満たされる場合、
「タイムカードで労働日数と労働時間数が確認できます。その他の項目は給与簿に記入しています。両方を併せて法定の賃金台帳として管理しています」
と答えても、両方で簡単に確認できれば許されると思います。
タイムカードより良さそうなもの
タイムカードのデメリットは不正打刻できることです。他にもっといいものがないか探したところ、次のようなものが見つかりました。
探した中ではコスパも高そうです。
iPadアプリで良さそうなものもありました。
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