はじめに
令和2年から、賃金を振り込み等で支払うことが求められるようになりました。通常の賃金制度も含めて解説します。
賃金とは
労働基準法では「賃金、給料、手当、賞与其の他名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう(労働基準法第11条)」とされています。
ざっくりと言えば、会社の指揮命令のもとで働いて、それに払われる報酬を「賃金」としてます。
無事故手当、住宅手当、退職金など『働いた報酬かな?』っていうものであっても、雇用契約書や会社の規則(就業規則)で支給基準が明確なものは「賃金」となります。
賃金支払いの5原則
賃金は生きることに直接影響するので、厳しく支払い方法が定められています。
1 通貨払い・・・価値が不明確な実物給与を禁止するため。通貨なので外貨はダメ!
2 直接払い・・・代理受領で中間搾取を防ぐため
3 全額払い・・・一部をストックして足留めするのを防ぐため
4 毎月1回以上払い・・・支払い期間が開きすぎるのを防ぐため
5 一定期日払い・・・計画的な生活の困難を防ぐため
です。これを、賃金支払いの5原則といいます。
技能実習生の賃金支払い方法
賃金は直接払いが原則ですが、現実に支払われた額を確認できる方法によって支払うこととしています。
(技能実習生の待遇の基準)
規則第14条 四の二 技能実習生に対する報酬を、当該技能実習生の指定する銀行その他の金融機関に対する当該技能実習生の預金口座若しくは貯金口座への振込み又は当該技能実習生に現実に支払われた額を確認することができる方法によって支払われることとしていること。
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当初はこのような規則がなかったで、賃金が技能実習生に支払われたことが確認できない場合があったため追加されたのでしょう。
日本人と同じように、賃金台帳に受領印をもらえば問題無いのでは?
と思うかもしれませんが、実際に技能実習生の印鑑が並んでいる賃金台帳みても『本当か?』と思ってしまいます。
なぜそう思うのか考えて見ると、印鑑は、その管理と押印することの重大さを認識している人が使うからこそ信用できるものなんですね。
その文化がない技能実習生が押印している記録をみても、給料を全額受け取ったという証明能力が低く感じるのだと思います。
技能実習生が下ろせるATMが近くにないなどの問題があるのかもしれません。
その不便さよりも、会社として全額きちんと本人に支払った記録を残すことが求められているということです。
なお、預貯金口座への振込みを行う場合には、技能実習生に対し、報酬の支払方法として預貯金口座への振込みがあることを説明した上で、個人ごとに同意を得ることが必要となります。
同一労働同一賃金
同一労働同一賃金は、同一企業の正社員と非正規労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すもので、令和3年4月1日から施行されてます。
正社員と技能実習生の間の不合理な待遇差があれば、それについても対象となります。
厚生労働省のホームページに特集ページがありますので、確認しておいてください。
絶対に避けるべきこと
技能実習生に宿舎で何か作業をしてもらって「おこづかい」と渡しても、労働の対価であれば賃金として最低賃金の適用があります。
まぁ、技能実習に無関係な作業であれば、「技能実習生の資格外活動」と「実習実施者の不法就労助長」となるし、技能実習の延長の作業で残業で割増賃金の支払が必要になるので、こっそりとやらないことですよ。
ご近所は見ています。
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