【技能実習】Q12:機構のパンフレットの妊娠、出産等を理由とした解雇や不利益取扱い禁止の根拠を教えてください

労働条件

はじめに

技能実習制度は、外国人が日本に期間を定めて学びに来る制度です。

妊娠で調子が悪くなったり、出産をすると産後8週間は働くことが禁止されているため、技能実習を継続することは本人にとっても大変なことです。

留学生が、日本で妊娠・出産をしつつ卒業するのが難しいのと同じことです。

技能実習中に妊娠しない方が本人も楽なはずですが、まだ若い技能実習生が普通に生活をしていれば、妊娠することがあることも否定できません。

その時に実習実施者としてできることは、技能実習生寄り添い、本人の意向をしっかりと確認して、配慮してあげることです。

善意で流産を心配して『帰国したら?』と何度もいってしまうと、『帰国を強制された』と受け取られるかもしれません。

妊娠中は何かと不安になるものです。ましてや、それが異国の地であれば、その不安は相当なものだと思います。

そこを技能実習生の身になって考え、通訳を介してしっかりと正確に、思いを伝えることを心がけましょう。

これから、

『妊娠を理由に技能実習を一方的に終了することはできません(監理団体・実習実施者の皆様へ)』
という機構のホームページにあるパンフレットについて解説していきます。

妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いとは

機構のパンフレットでは、
・妊娠、出産等を理由とした解雇や不利益取扱いは法律で禁止されています。
と書かれています。これは男女雇用機会均等法、育児介護休業法、技能実習法で定められています。


【男女雇用機会均等法】

 

(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)

第9条

2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。

3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない

4 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。   

        
            ざっくりといえば、次のとおりです。

 

            ○次のことで不利益な取扱いをしてはダメ!

 

              1 妊娠

 

              2 出産

 

              3 妊娠中の健康診査など

 

              4 危険有害業務の就業制限業務ができなくなったこと

 

              5 産前産後休業

 

              6 軽易な業務への転換申出

 

              7 残業、休日出勤、深夜業の拒否

 

              8 育児時間

 

              9 妊娠中の体調不良

 

             
             ○不利益な取扱いとはこんなこと

 

              1 解雇

 

              2 雇止め

 

              3 更新回数の引き下げ

 

              4 正社員→パートへの変更

 

              5 降格

 

              6 いじめ、いやがらせ

 

              7 不利益な自宅待機

 

              8 減給、賞与等減額

 

              9 昇進・昇格の不利益な評価

 

              10 不利益な配置の変更

 

             

【育児・介護休業法】

 

(不利益取扱いの禁止)

第10条 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。          
不利益な取扱いの考え方は同様です。

             

【技能実習法】

 

法第48条

2 技能実習関係者は、技能実習生の外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならない。技能実習関係者には、技能実習を行わせる者、実習監理者、これらの役員若しくは職員と技能実習生に影響を及ぼしうる人みんなと考えてください。
 ここで注意しなければならないのが、監理団体ではなく「実習監理者」としているところです。これは監理団体だけではなく、許可がなくても実際に技能実習の実施状況を確認する者も含む言葉です。

 

           
どこまでを含むかは、機構の判断が示されていない以上、確定的なことは言えませんが、法律の条文の趣旨からは、送出機関の駐在員も含まれる余地は十分にあると思います。

           

不当に制限の具体例としては
        ○携帯電話等を取り上げる行為
        ○外出を一律に禁止する行為
        ○男女交際等を禁止する行為
        ○妊娠しないこと等を誓約させる行為

        ○プライベートな空間に理由なくカメラを設置する
などです。

 

送出機関と技能実習生との約束について

機構のパンフレットでは、
・送出機関が技能実習生との間で、妊娠等を理由として帰国することを約束することは許されません。
と書かれています。

           
これの根拠となるところを探してみましたが、要領にもずばり書いているところは見当たりませんでしたので、おそらく次の条文が根拠だと思います。


           
【技能実習法】

 

 

(禁止行為)

第46条 実習監理を行う者(第四十八条第一項において「実習監理者」という。)又はその役員若しくは職員(次条において「実習監理者等」という。)は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、技能実習生の意思に反して技能実習を強制してはならない。

「妊娠した場合は帰国させるぞ」という約束は、脅迫とか精神又は身体の自由を不当に拘束する手段となり、技能実習生の意思に反して技能実習を強制することになるから許されない。
           
ちょっと強引な解釈である気もするので、別の根拠として、監理団体の許可申請に添付する送出機関の誓約書に

10 当機関又はその役員は、過去5年以内に団体監理型技能実習生等に対する暴行、脅迫、自由の制限その他人権を侵害する行為をしていませんし、今後も決していたしません。

   

 とあるので、これを根拠に許されていないということは、間違いなく言えます。
           

マタハラ防止について

 

妊娠・出産等のハラスメントは「マタハラ」と呼ばれ、男女雇用機会均等法、育児介護休業法により防止の努力義務が課されています。

 

ハラスメント関係はまとめて別の機会に説明したいと思います。

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