回答
仕事が原因のケガや病気ではなく、体調不良での病院や虫歯の治療で歯科医院に行く時間は労働時間ではないので、その時間の賃金を支払う必要はありません。
この点について思いもよらないトラブルがあるので、考え方を整理しておきます
時給制の場合
時給制の場合は、働いていない分の賃金を支払っていないケースがほとんどだと思いますが、タイムカードなどの客観的な記録が整備されていない実習実施者では「病院に行った時間以上に引かれていた」というようなトラブルが起きる場合があります。
また、いままで支払っていたものを法律上支払う必要がないということで急に控除すると、最低基準を理由に労働条件を引き下げたということで労働基準法の趣旨に反することになるし、技能実習生の勤労意欲の減退につながる場合があります。
不利益と考えられる社内ルールを決めるときは後出しじゃんけんは厳禁です。
不利益をさかのぼって適用することなく、話し合いの上で未来に向かっての適用としましょう。
月給制の場合
月給制の場合は病院や歯科医院に行ったからといって、その時間分を賃金控除しているケースは少ないのでは無いかと思います。
月給は細かい計算したくないから月給にしていると考えている実習実施者も多くいます。
賃金には労働基準法という最低基準があります。
最低基準なのでそれを下回っている場合は問答無用で違反とされます。
働いた月もあれば働かない月もあるけど「トータルでは釣り合いがとれている」という考え方を取ることができません。
例えば、「今日早上がりしたけど、明日残って仕事してくれたらいいよ」と配慮したつもりであっても、技能実習生から「残って仕事した分の残業手当がもらえない」と訴えられたらアウトになります。
月給であっても、働いていない時間は賃金カットするというルールにしておくのが無難です。
病院ばかり行っている者と真面目に働いている者の賃金が変わりなければ、真面目に働いているものの勤労意欲が低下します。
働いていない時間相当の賃金カットは労働基準法の違反にもなりません。
もっと良い方法はないの?
バランスを考えた方法としては有給休暇制度と通院時間カット制度を組み合わせる方法がいいのではないかと思います。
私傷病での通院時間は原則その時間分の賃金カットすることにしておいて、技能実習生が希望する場合には有給休暇を振り替えてもいいとする方法です。
有給休暇は事前に労働者から請求があって与えるものです。でも、風邪などの体調不良で休みたいときに当日連絡し、有給休暇の請求を認めてくれたらありがたいですよね。
現在の労働基準法では年間10日以上有給休暇を付与される者には年5日の有給休暇付与が義務化されています。
簡単にいうと年間5日労働者に有給休暇を取得させないと、事業主が法律違反となり罰則が適用されるということです。
通院時間を有給休暇として取得されれば、この5日取得のクリアも容易になると思います。
さらに、有給休暇の時間取得制度を作ればより便利だと思います。その制度のことは別の機会に説明します。
※追記 時間単位の記事書きました(2021/07/26)
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