【技能実習】ニュースの解説:交通事故で技能実習生死亡 雇用主を書類送検

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ニュースの概要

○令和3年8月23日に農業に従事する技能実習生が運転するトラックと乗用車が正面衝突し、技能実習生が死亡した事故が発生
○労働基準監督署は、雇用主を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検した
○雇用主は、1月に技能実習生の業務に自動車の運転を追加したが、この際、必要な安全教育を行わなかった疑い

 技能実習生に対し、トラックの運転についての安全教育が行われていなかったため、労働基準監督署が実習実施者を書類送検したということです。

解説

 まず事故の発生状況の概要は佐久警察署のHPにありました

■ 警察の発表

 令和3年8月23日(月曜日)午前0時50分頃、村道を進行中の普通貨物車(24歳男性)と、対向から進行中の普通乗用車(31歳男性)が正面衝突して、普通貨物車の運転者が亡くなる交通事故が発生しました。

○必要な安全教育

 おそらくは雇入時や作業転換時の教育のことだと思います。

労働安全衛生規則
第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。ただし、令第2条第3号に掲げる業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。
一 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
二 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
三 作業手順に関すること。
四 作業開始時の点検に関すること。
五 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
六 整理、整頓とん及び清潔の保持に関すること。
七 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
八 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

 雇入時や作業内容を変えたときにはその作業の危険性を十分に教えなければならないということです。
 トラックも貨物自動車という機械なので、危険性や取扱い方法を教えなければならないことになります。
 トラックのシフトチェンジの方法とか車種ごとに違うので、取扱を教えないと危ないということです。

○認定取消になるか

 罰金刑などを受けることになれば、技能実習計画の認定取消しとなり、今後5年間は新規の技能実習生受入れもできなくなります。

まとめ

 技能実習生に限らず、労働者の作業内容を変更したときにはその作業内容に特有の危険性や有害性とその対処の方法を十分に教育しなければならないということです。
 それを怠って重大な事故等が発生すれば処罰の対象となり、その結果次第では技能実習計画の認定取消処分を受けることになります。

 労働者の安全と健康を守る努力は常に必要です。

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