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【技能実習】Q47:失踪や犯罪など技能実習生本人が悪くて帰国する場合も帰国旅費は負担しなければなりませんか?

実習実施者

回答

帰国旅費は例外なく負担しなければなりません。

勝手に失踪したり、悪いことをしたりで散々迷惑かけられたのに、さらに帰国旅費も負担しなければならないとは納得がいかないという場合もあると思います。

なぜそうなるのかは、帰国旅費の制度を理解すれば判ります。

帰国旅費とは

技能等を移転するという技能実習制度の趣旨に照らして考えて、技能実習生を確実に帰国させるために、監理団体が帰国旅費の全額を負担することとされています。

また監理団体には、技能実習の終了後の帰国が円滑になされるよう必要な措置として、技能実習生が帰国するまでの間、生活面等で困ることがないよう、技能実習生が置かれた状況に応じて、その支援を行うことも併せて求められています。

このことは技能実習法第9条6号に基づいて定められた技能実習法施行規則にしっかりと書かれています。

規則第12条 <法第9条第6号(法第11条第2項において準用する場合を含む。)の主務省令で定める基準のうち技能実習を行わせる体制に係るものは、次のとおりとする。 
六 企業単独型技能実習に係るものである場合にあっては申請者が、団体監理型技能実習に係るものである場合にあっては監理団体が、第10条第2項第3号トに規定する一時帰国に要する旅費(同号ト(1)に規定するものについては、第二号技能実習生が第二号技能実習を行っている間に法第8条第1項の認定の申請がされた場合に限る。第五十二条第九号において同じ。)及び技能実習の終了後の帰国に要する旅費を負担するとともに、技能実習の終了後の帰国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること。

 

誰が負担する?

規則にあるとおり、監理団体が負担しなければならないことになっています。

実際には監理団体と実習実施者の契約により、実習実施者が監理団体の請求に基づき負担することになっていることがほとんどなので、実習実施者の義務のように思っている人もいるとおもいますが、

  法律の負担義務→監理団体

  契約上の負担義務→実習実施者

ということになります。

なぜ負担の例外がないのか

例外を設けると、例外に「該当する」のか「該当しないのか」で当事者同士の主張がぶつかり、争いになる場合も予想されます。

そうなった時に、争いの結果として、技能実習生の扱いが宙ぶらりんになって帰国ができなくなることを防ぐため、例外なく負担を求める制度となっています。

技能実習生は監理団体が責任をもって帰国させなければならない。

確実に帰国させるために、失踪や犯罪など技能実習生本人が悪くて帰国する場合などの事情は全く考慮されないということです。

送出機関の負担はあり?

そのような申出が送出機関からあったとしても、帰国旅費は監理団体が支出しておかないと、大きなリスクを抱えることになります。

というのも帰国旅費を送出機関が負担したとして、その後に負担した金額を

技能実習生から徴収していたことが発覚

した場合、間接的に監理団体が負担しなかったとされることと判断されることがあり得るからです。

技能実習制度において技能実習生の保護は最優先とされているため、帰国旅費の技能実習生負担と判断された場合は、重い処罰の対象になる恐れがあり、そのリスクは絶対に避けるべきです。

在留資格が変わった場合は?

帰国予定の技能実習生の在留資格が、帰国が困難である等の事情により他の在留資格に変更された場合であっても、帰国旅費は負担しなければなりません。

まとめ

技能実習生の帰国旅費の負担は例外なく行わなければならない。

腹立たしい事情あったとしても免除されることはないので、何かあってから帰国旅費を工面すると納得いかない感が増すので、入国したときにあらかじめ帰国旅費分は積み上げておき、負担を求められたときにそれを渡した方が精神衛生上よいと思います。

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